2014年08月01日

パウゼ

フェイスブックに載せたら好評でしたので、ブログでも紹介します。

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この譜面台兼ギタースタンドは30数年前、画家の梅田英俊さんが作られたものです。
梅田先生は1964年に文藝春秋漫画賞を受賞した鬼才です。
また、ギターが趣味で家が近かったこともあり、親しく行き来させていただいていました。
ある日彼のアトリエを訪ねると、見慣れないギタースタンドにギターが置いてあります。
よく見ると、譜面台にもなっているではないですか! うかがえば、先生の考案、しかも
手作りだそうです。その場で、ずうずうしくも私にも作ってくださるようお願いし、
その上、わがままなアイデアをたくさん取り入れていただき本作が完成しました。
ギターに優しくというコンセプトで、釘などの金属は一切使わず、ボンドと木釘で組み立てられました。
ギターを支える部分はセーム革を三つ編みにして貼ってあります。高さの調節も出来るようにし、
台の上のものが落ちないように細い木を貼り、木製の楽譜押さえ(左側は欠損)まで付けました。

そうこうしているうちに、この譜面台兼ギタースタンドをギターを弾く人達に広めようと
いう話になり、現代ギター誌に広告を出して「パウゼ」という名前で発売することになりました。
そのために梅田先生は家の物置を改造して工房を作り材料も仕入れました。彼の才能は本当に
マルチでいろいろな工具というか機械をご自分で作られて、またたく間に数十台を完成させてしまわれました。

ところが、仕入れた材料の乾燥状態が悪かったようで、何日か経つとゆがみやねじれが出て、
商品にはならなくなってしまったのです。それでも十数本は狂いのないものが出来、注文してくださった方々
にはお渡しすることが出来ました。結局、2.000本売ってギター専用のミニホールを作るという先生の夢は
叶いませんでしたが、以来30数年ずっと私の練習とレッスンの大事なパートナーとなっています。