2018年07月16日

録音審査結果講評

第1回六本木国際ギターコンクール予選(音源審査)の結果が出ました。
こちら
河野智美、鈴木大介、原善伸の三審査員が80点を合格ラインとして採点しました。
本選は6人ずつ6組で行うことから48名中三審査員の平均点上位から36名を合格としました。
先日フェイスブックにも書きましたが、課題曲(カルカッシ/Op.60-3)のレベルからすると、
ビリつき、音抜け、譜読みの間違いなどのミスが多く、また録音状態の悪い人も目立ち、
決して満足のいくものではありませんでした。
結局、平均点が80点を超えた人は17名、71〜79が19名、70点以下が12名で、結果として、
70点以下が不合格ということになりました。

私が審査した感想、またこれから挑戦する方の課題として、
まず、ミスのない音源を作って欲しいと思います。成功するまで何度でもチャレンジしてください。
ミスの起こる箇所をチェックし克服法を工夫してください。
例えば今回の課題曲(14)小節では3指が次のセーハしているラに触れてはっきり出ていない人が多かったです。
また、ポジション移動する際、最後の音が出ていない人も同様です。
ちょっとしたビリつきは決して「まあいいか」と思わないこと。私はビリつきは全て減点しました。
消音にも問題点がありました。
(13)小節の頭のミ♯と、前の小節で弾いたミが6弦に共鳴して鳴っているミ(ナチュラル)がぶつかっている人も多かったです。
この練習曲のテーマでもある倚音(アポジャトゥーラ)の解決がされていない人も目立ちました。
ただ、(7)小節2拍目のミは4拍目のレ♯に解決するのですが、3拍目ですでにグリッサンドした4指でレ♯を鳴らしてしまってはいけません。
譜読みでは(20)小節4拍目ラを1オクターブ下で弾いている人が2名いました。
また、aimのアルペジョをamiで弾いている人もいました。
最後に録音状態です。
一体どういう機械で録音したんだろうと思われるような音源も決して少なくありませんでした。
最近は色々な録音機器が出ており、ポータブルレコーダーの性能は非常に良くなっています。
スマートフォンの録音機能も向上し十分録音審査に耐えられる性能になっていると思います。
一方、安価なボイスレコーダーなどは音楽の録音には向きません。
また極端なボリュームで全て音が割れてしまっていいるものや、逆に音量を最大にしても聞き取りにくいほど低いもの、
エフェクターをかけたような不自然な響のものは減点の対象です。
録音後必ず適正なスピーカーやヘッドフォンで再生し審査(鑑賞)に耐えるものかチェックしてください。

9月30日(日)の本選はブラインド審査となります。
会場の関係で控室での練習ができないため、苦肉の策として6人ずつに分け15分間ずつの練習をしてもらうという、
フィギアスケートの6分間練習にアイデアをもらった方法を考えました。
また、参加者の時間的負担をできるだけ減らすため、演奏順の抽選もあらかじめコンピューターでしてしまい、全員が朝集合する必要のないようにしました。演奏後も審査結果を何時間も待たなくて済むように翌日ウェブ上でとしました。
表彰は後日受賞者コンサートでということになります。入賞者以外の名前は公表しません。
一般のギターコンクールとは全く違った様相となりましたが、結果と受賞者紹介などは雑誌やウエブなどを通して周知していきます。

私は時々ギターコンクールを観戦し、失礼ながら外見が微妙に採点に影響しているのではないかという危惧を抱いておりました。
これは自分に対する不安感、不信感でもあります。
今回のコンクールでは予選、本選を通じて完全にブラインドにできないか色々考え、このような方法にいたしました。
初めての試みでもあり、何かと不備もあるかと思いますが、参加者の意見をできるだけ汲み取り、できる限り公平な審査ができるよう努力いたします。