ギターの歴史
ギターの歴史
1. ギターのルーツ
指またはプレクトラム(鳥の羽や木片など)で爪弾く楽器を撥弦楽器という。
先史時代、狩猟民が使っていた弓を木の実や獣の頭蓋骨などに刺して音を出したのが始まりと考えられる。
弦を複数張って異なる音高を出すようにしたものがハープの起源であり、一本の弦の長さを手で押さえ音高を変えればギターの起源となる。
各地の古代遺跡から撥弦楽器と思われる彫刻や絵画が見つかっている。
古代メソポタミアのレリーフ(紀元前1800年ごろ)
古代エジプトの壁画
2. 中世ヨーロッパ(5世紀〜15世紀)
ヨーロッパ各地にキリスト教が浸透しグレゴリオ聖歌を元とした声楽曲が発展したが、貴族や領主の宮廷や城では楽器の演奏も広く行なわれた。
名称はさまざまだがギターの様な撥弦楽器も多く使われた。
アルフォンソⅩ世編纂「サンタマリア・カンティガ集」13世紀
3. ルネッサンス(15〜16世紀)
15世紀のなかごろドイツ人グーテンベルクによって発明された印刷術により、書籍だけでなく楽譜出版もはじまり、リュート、ビウエラ、ギターなどの楽譜が各国で出版された。
教会では声楽曲が中心であったが、国王や領主達はこぞってリューティストやギターリストを召し抱え宮廷で演奏させた。
エル・マエストロ(1536スペイン)L.ミラン
タブラチュアによる記譜が用いられた。
4. バロック(17〜18世紀)
イタリアのフィレンツェで始まったオペラが広まるにつれ、ますます器楽の演奏が重要視されるようになった。
また、オランダなど都市の発展により裕福になった市民も音楽を愛好し、ギターもたいへん好まれた。
フランス王ルイ14世(太陽王)はギターを愛し、名手ロベール・ド・ヴィゼーを重用した。
ヨハネス・フェルメール(1632~1675)ギターを弾く女性1672頃
ジャン・アントワーヌ・ヴァトー(1684~1721)メズタン1718頃
5. 古典派・ロマン派(18世紀〜19世紀)
フランス革命(1789〜)以後、それまで主に貴族と聖職者の専有物であった音楽がブルジョワを始めとする市民に広がり、演奏の場もコンサートホールへと移行した。一方、富裕層のサロンでの音楽会も盛況で19世紀初頭はパリやウィーンでギターは広く親しまれた。
6単弦ギター
アグアド教本よりアグアドの肖像(1843年)
エドガー・ドガ(1834~1917)歌うバガンとドガの父1869頃
6. 近代・現代(19世紀〜20世紀)
19世紀も後半になると音量の問題などからギターは徐々に音楽界の第一線から退いて行った。
しかし、フランシスコ・タレガ(1852-1909)らにより、ひそかにではあるがギターの名曲が生み出されていた。
また、1850年頃アントニオ・トーレスにより現代のクラシックギターの原型が作られた。
トーレスを弾くタレガ
7. ギターの復活
1920年頃からアンドレス・セゴビア(1893〜1987) の演奏技術と音楽性がクラシック音楽界に認められ、世界を股に演奏旅行を行なうとともに、作曲家にギター曲の作曲を依頼、また献呈を受けた。セゴビアによって現在のクラシックギターの隆盛があると言っても過言ではない。
8. 現代
第二次世界大戦後、クラシックギターの技術は格段の進歩を見せ、
ナルシソ・イエペス(1927-1997)
ジュリアン・ブリーム(1933-2020)
ジョン・ウィリアムズ(1941- )
らによって、音楽界におけるクラシックギターの地位は確立された。
9. アメリカンギターのルーツ
クリスチャン・フレデリック・マーチン(1796~1867) は15才でウィーンのヨハン・シュタウフェルに弟子入り、
1833年にアメリカへ移住、後代々ギター製作にたずさわる。